個人事業主と、法人化には、それぞれメリット・デメリットがあります。
例えば、「従来、個人事業主だったが、取引先からの要請で株式会社形態にしないと「いけなくなった」」といったケースでは迷うことはありませんが、そのような切羽詰まった事情がないと、法人化した方がよいかどうか、迷ってしまうと思います。
法人化した方がトクになる金額とは?
個人事業主と法人とでは、前者が主に所得税、後者が主に法人税と、適用される税制等が異なります。そのため、全く同じ仕事を全く同じように処理して、全く同じ利益を得たとしても、納めるべき税金を差し引いて手元に残るキャッシュは異なります。
その手元に残るキャッシュの額を決める条件は数多くあるのですが、最も大きな影響を与えるのは利益の額です。制度の違いから利益がごく僅かなときには個人事業主のほうが手元キャッシュが大きくなるのですが、ある一定時点を超えると法人形態のほうが大きくなります。
例)利益が500万円前後の方の場合
個人事業主でゼロから始めて、利益が徐々に大きくなっていき、500万円前後となった状況を想定します。なお、ここでは、話を単純化するために、利益額イコール課税所得の額とします。
個人事業主で利益が500万円の場合、500万円に20%を乗じた100万円から427,500円の控除額を除いて、所得税額は572,500円となります。
それが、法人の場合(ただし期末資本金が1億円以下の中小法人)は、現時点(2019年の特例的措置)の税率では、法人税額は750,000円となります。
この場合、若干、法人の方が税額が大きいので、法人化しないほうが良さそうにも思えます。しかし、法人になれば認められる経費の幅が大きくなりますので、さらに課税所得を減額することができます。
例えば役員報酬を300万円に設定するとその分会社の利益額を減らしますので、会社の利益は200万円となり、上記の条件から法人税額は30万円となります。
ただし、この場合は、経営者個人に所得が300万円発生しているため、そこに所得税がかかります。そこで個人の所得を300万円とすると、所得税額は202,500円となります。そのため、法人および個人のトータルは502,500円となり、個人事業主の場合よりも税金は安くなります。
さらに、この計算以外にも、上述のとおり役員報酬分は所得控除が入りますので、実際はもう少し圧縮することができます。また、家族間で分散すればさらに効果が期待できます。
このように、想定する条件次第で上の損得は変わります。役員報酬以外にも経費算入できるようになるものがあります。他方で、法人化することによって発生する費用や、住民税均等割もあるため、その影響はマイナス要因となります。
私どもでは、この所得帯で法人化を検討する場合は、どこまで経費に算入できそうか、また、どのような費用が新たに発生するのか、ということを含めてかなり詳細にシミュレーションをしていきます。
成果物と料金
3万円(税別)
なお、当業務の完了後、私どもへ「法人化の手続」をご依頼いただいたお客様には、この3万円(税別)は、その「法人化の手続」の代金に含めます(実質的に返金となります)。