税理士と契約することは法律で決められているわけはありません。
しかし、周りの会社を見聞きすると、ほとんどの会社では税理士と契約していると思います。一見、当たり前なことかもしれませんが、その理由を以下に記載します。
1.法人税の確定申告書の作成が難しい
いわゆる帳簿の完成、すなわち決算までは、日商簿記3級の仕訳の知識があれば、税理士なしでもなんとか作成できるかもしれません。
しかし、最後に、法人税の確定申告(課税売上1千万円超の会社であれば、さらに消費税の確定申告書も)の作成を要しますが、これは、通常の事務担当者のスキルを超えるものです。
「税金のことは税務署に聞けば教えてくれるのでは?」と思われるかもしれませんが、税務署に聞くと、おそらく、地区の税理士会支部か、法人会を紹介されると思います。
またこんな例もございます。
以前、「社長がご主人、奥様が経理と申告書を作成し、税理士は頼んでいなかった」という方の解散・清算業務をしたときに、過去の申告書をレビューしたところ、「消費税の申告の選択を簡易課税を選択し続けていて、本則に比して、毎年50万円以上(累計で1500万円以上)、余分に納税していた」という方がいらっしゃいました。
それをご説明すると、「えーーーー!なんで税務署の方で、気づいて、助言してくれなかったの!?」と怒っていらっしゃいましたが、申告納税制度なので、税務署にはそれを伝える義務はないのです。
2.給与計算を自社でできない
給与計算には、社会保険、雇用保険、労働保険の毎年の届をし、毎月の従業員ごとの計算をし、そしてそれを毎月の仕訳を起こすことが必要になりますが、これを自社で行うことも、通常の事務担当者のスキルを超えるものです。
3.中小企業で生じる実務のよろず相談に応じてもらえる
会社(中小企業)を社長として日々経営していると、いろいろな課題やトラブルに遭遇します。そのようなときに、自分でよく知っていることであれば、その場で自力で正しく判断ができると思います。
しかし、ご自身でよく知っていることや十分な情報があることはむしろ例外であって、日々、勝手がわからないことに対して判断をしていくことを強いられている社長様が大半ではないかと考えます。
特に、税務、労務、法務について自社に生じる事例に対して、どのように対応すればよいのかわからない方は少なくないと思います。
「今のご時世であれば、インターネットで調べて解決できるよ」と考えられるかもしれません。インターネットで検索して解説がしてある事例と、当社がいま直面している事例が、まったく同じであれば、その解説でOKだと思いますが、インターネットで解説している記事が、100%正しいとも限りません。
その点、顧問税理士であれば、当社の事情や前提を踏まえて、助言することが可能です。
4.以上のことを月に数万円の顧問料で頼める
以上のことを、自社内で解決できれば素晴らしいと思います。実際、上場企業になりますと、当然、そうです。
しかし、中小企業でそのような人材を育成したり、ヘッドハンティングして自社に迎えるのは、時間的かつ金銭的な負担がかかります。
その点、顧問税理士に託すのであれば、月に数万円のコストで済みます。
もちろん、顧問税理士を月に拘束できる時間には限りがあるでしょう。しかし、以上のような課題は月に凝縮すると1,2時間で足りるはずです。
5.経営上のことを相談できる
社長・経営者は孤独です。仕事上のことは従業員に相談することが通常ですが、その従業員に利害(損得)が生じることは相談できません。
そのような、従業員には相談しにくいことを、顧問税理士には相談できます。
その税理士との顧問契約が長いほど、貴社の事情に詳しくなっているはずです。ですので、相談相手にうってつけなのです。
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