被相続人が、宅地等を2つ保有している場合、小規模宅地の特例の特定居住用宅地の特例はどう計算するの?
問題の所在
以下の事例を検討する:
・夫と妻と娘2名。被相続人は妻。相続人は夫と娘2名
・夫と妻が世田谷区内に、自宅とアパート物件(貸家建付地、土地と建物)を、各々、共有で保有していた。
・妻は住民票上の住所は自宅であるが、実際にはアパートの1室に10年以上、別居で済んでいた。(いわゆる賃貸併用住宅)
・ゆえに、被相続人の自宅は、①自宅、②賃貸併用住宅中の自室、の2つが宅地等になる。
この場合、小規模宅地の特例の、特例居住用宅地の適用は、「2つを足して、最大330平方メートル」「どちらか1つ」等のいずれか?
結論
「宅地等が2以上ある場合には、主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限ります。」
事例に当てはめると以下:
- 「主としてその居住の用に供していた一の宅地等」が、貸家建付地の1室の方であるため、
- 貸家建付地の自室
→ 「主としてその居住の用に供していた一の宅地等」に該当する
→ 特定居住用宅地の特例対象
→ しかし、長女は「生計を一にする親族」ではない、かつ家なき子でもない
→ 特例は適用できない。 - 貸家建付地のそれ以外の部屋
→ 特定貸付事業用宅地の特例対象
→ 長女は「生計を一にする親族」ではなく、承継で取得する
→ 特例を適用できる。 - 自宅
→ こちらは「主としてその居住の用に供していた一の宅地等」に該当しない
→ 特例は適用できない。
- 貸家建付地の自室
理由
参考記事は以下:
No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
(以下、一部抜粋。太字部分筆者加筆)
特定居住用宅地等
相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得したものをいいます(次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。なお、その宅地等が2以上ある場合には、主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限ります。
補足
被相続人は節税対策のためか、住民票上の住所は自宅に戻していたようであるが、、、意味がなかった。
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