SL様用)「配当金の支配額」は、源泉所得税の控除前の金額?控除後の金額?

問題の所在

以下の事例で、キャッシュ・フロー計算書の、「Ⅲ.財務活動によるキャッシュフロー」の、「配当金の支払額」がいくらになるかが問題となる:

・非上場会社グループで、親会社の100%持分の子会社L社。

・従来、配当金の決議額は全額、支払っている。(=期首・期末に、未払配当金a/cの残高は常にゼロ)

・会社法ベースで、6/20に株主総会を開催し、その際、配当金支払いの決議をし、翌日以降に遅滞なく支払っている。

・総会の翌日の6/21に支払った時の仕訳は以下:

(借)繰越利益 10,000 (貸)未払配当金 10,000

(借)未払配当金 10,000 (貸)普通預金 7,958
**************** 預り金 2,042

・翌月10日までに納付するが、7/10にその源泉所得税の納付時の仕訳は以下:

(借)預り金 2,042 (貸)普通預金 2,042

 

改めて、上の事例で、6月の月次キャッシュ・フロー計算書の、「Ⅲ.財務活動によるキャッシュフロー」の、「配当金の支払額」は、

案① → 10,000

案② → 7,958

のいずれかか?

連結キャッシュ・フロー計算書等の作成に関する実務指針の中の、設例でも、源泉所得税は考慮外になっている。

https://jicpa.or.jp/specialized_field/post_810.html

★なお、この結論を受けて、弥生会計AEで、どのようにキャッシュ・フロー計算書を作成するかについては、別の記事参照。

 

結論

案②。(金額例で、7,958)

 

理由

6月のキャッシュ・アウトとしては、7,958。

もちろん、年では、支払った子会社L社側では、源泉所得税込みのトータル 10,000。

 

なお、以下の書籍では、未払配当金a/cをT字a/cで、

期首残高・配当額・支払額・期末残高

と分析しているが、私見であるが、この「支払額」は源泉の控除前という意味ではなく、上場会社で、一部の株主の振込口座が特定できず支払えない分が生じ、つまり毎年、「配当額>支払額」が生じ、その差額が期首残高にオンされて期末残高になる、

という循環を想定しているものと解する。

 

補足

この場合、弥生会計AEのキャッシュ・フロー計算モジュールで自動作成するための工夫は、以下の記事を参照:

L様用)弥生会計AEで月次キャッシュ・フロー計算書を作成する際、配当金の支払額はどう扱う?