【2024/2/12改訂】Nasdaq上場のETFからの受取配当金の、消費税上の扱いは?

問題の所在

金融商品(海外含む)についての書籍の解説は、専ら源泉所得税や法人税関係が多く、消費税の解説は少ないので、その備忘メモ。

以下の事例:

・国内の上場会社での、投資運用先からの受取配当金

・当該投資信託は、Nadasqに上場しているインデックス・ファンド(=投資信託、ETF)

「国内の企業(=海外に支店等はない)が国外取引をする → 主体は「国内」、でも取引は「国外」、、、

・「国外取引」と整理できたら → 通常は、輸出取引、

・「国内取引」と整理できたら → 通常は、通常の国内企業からの受取配当金は非課税取引

なお、

・国内企業からの受取配当金は、不課税であるが、、、、

・国内の投資法人(会社型)からの受取配当金は、不課税であるが、、、、

・投資信託(契約型)からの受取配当金は、非課税であるが、、、

 

結論

実務上は、以下の国税庁hpの質疑応答を利用する。

この中の「外国債券等」の表中に明記されており、いわゆる「非課税資産の輸出取引等」として扱う。

★以下の表の、「合同運用信託、投資信託、法人課税信託ー分配金(利子)」、に該当する:

 

外債の受取利子で輸出取引とみなされるもの

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/17/04.htm

(以下、一部抜粋)

非課税資産の譲渡等のうち、輸出取引とみなされるものは、金銭の貸付けや国債等の取得で債務者が非居住者であるものとされています。
そのため(筆者中略)輸出取引とみなされますから、課税売上割合の計算上、受け取る利子の額を分母、分子に算入します。

(参考)
非課税資産の輸出等とみなされる取引(令173

非課税資産の輸出等とみなされる取引の内容
課税売上割合の分母分子に含める金額
1 利子を対価とする金銭の貸付け利子
2 利子を対価とする国債等の取得利子
3 国際通貨基金協定15条の特別引出権の保有利子
4 預金又は貯金の預入利子
5 合同運用信託、投資信託、法人課税信託分配金(利子)
6 利子を対価とする抵当証券の取得利子
7 償還差益を対価とする国債等の取得(注)償還差益(利子)
8 手形(CPを除く)の割引割引料(利子)
9 金銭債権(CPを含む)の譲受け等〃(利子)
10 金融商品取引法に規定する有価証券、登録国債の貸付け(ゴルフ場株式を除く)貸付料(利子)

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★これの読み方は以下:

国税庁hpの質疑応答事例の「外債の受取利子で輸出取引とみなされるもの 」の読み方は?

 

なお、上の弊検討内容の検証を兼ねて解説記事をググったが、「海外」「投資信託」「消費税」のキーワードをすべて含む記事はなかなかなく、せいぜい以下の記事くらい(よくまとまっている):

外国債券等の運用による利子および収益分配金に対する消費税の取扱いについて

https://www.cs-acctg.com/column/kaikei_keiri/004604.html

(以下、一部抜粋。赤着色化や太字化は筆者)

 

まずはじめに消費税の課税対象となるかどうかの内外判定についてですが、「貸付け及びその行為を行う者の事務所等の所在地」により判断することとなります。

国内にしか事務所等を有していないのであれば、国内取引に該当することとなります。

次にその行為である利子および分配金の受取りについては、消費税法上、非課税取引に該当することとなりますので非課税売上として認識されます。

ただし、今回の利子および分配金については外国債券等に該当し、その債務者が非居住者であることから、非課税資産の輸出取引等に該当します

したがって、受取る利子および分配金については課税売上割合の計算上、分母、分子に算入されることとなります。

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理由

上の国税庁hpの質疑応答事例の末尾に、「【関係法令通達】 消費税法第31条第1項消費税法施行令第17条第3項第51条」とある。

 

消費税法施行令第17条第3項

3 第十条第一項に規定する金銭の貸付け又は同条第三項第一号、第二号若しくは第五号から第八号までに掲げる行為で当該貸付け又は行為に係る金銭債権の債務者(同項第七号に掲げるものにあつては、同号の割引を受けた者に限る。)が非居住者であるもの及び同項第十一号に掲げる資産の貸付けで非居住者に対して行われるものは、法第三十一条第一項の規定の適用については、法第七条第一項第五号に規定する政令で定めるものとする。

同条(=第十条)第三項第一号、第二号

3 法別表第二第三号に掲げる資産の貸付け又は役務の提供に類するものとして同号に規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 預金又は貯金の預入(金融商品取引法施行令(昭和四十年政令第三百二十一号)第一条第一号(有価証券となる証券又は証書)に規定する譲渡性預金証書に係るものを含む。)
二 収益の分配金を対価とする法第十四条第一項ただし書に規定する信託

法第三十一条第一項

第三十一条 事業者が国内において第六条第一項の規定により消費税を課さないこととされる資産の譲渡等(以下この項において「非課税資産の譲渡等」という。)のうち第七条第一項各号に掲げる資産の譲渡等(以下この項及び次項において「輸出取引等」という。)に該当するものを行つた場合において、当該非課税資産の譲渡等が輸出取引等に該当するものであることにつき、財務省令で定めるところにより証明がされたときは、当該非課税資産の譲渡等のうち当該証明がされたものは、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとみなして、前条の規定を適用する。

第六条第一項

(非課税)
第六条 国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第二に掲げるものには、消費税を課さない。
別表第二(第六条、第十二条の二、第十二条の三、第三十条、第三十五条の二関係)
一 土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)
二 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項(定義)に規定する有価証券その他これに類するものとして政令で定めるもの(ゴルフ場その他の施設の利用に関する権利に係るものとして政令で定めるものを除く。)及び外国為替及び外国貿易法第六条第一項第七号(定義)に規定する支払手段(収集品その他の政令で定めるものを除く。)その他これに類するものとして政令で定めるもの(別表第二の二において「有価証券等」という。)の譲渡
三 利子を対価とする貸付金その他の政令で定める資産の貸付け、信用の保証としての役務の提供、所得税法第二条第一項第十一号(定義)に規定する合同運用信託、同項第十五号に規定する公社債投資信託又は同項第十五号の二に規定する公社債等運用投資信託に係る信託報酬を対価とする役務の提供及び保険料を対価とする役務の提供(当該保険料が当該役務の提供に係る事務に要する費用の額とその他の部分とに区分して支払われることとされている契約で政令で定めるものに係る保険料(当該費用の額に相当する部分の金額に限る。)を対価とする役務の提供を除く。)その他これらに類するものとして政令で定めるもの
(以下、筆者省略)

第七条第一項各号

(輸出免税等)

第七条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除する。

一 本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け
二 外国貨物の譲渡又は貸付け(前号に掲げる資産の譲渡又は貸付けに該当するもの及び輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和三十年法律第三十七号)第八条第一項第三号(公売又は売却等の場合における内国消費税の徴収)に掲げる場合に該当することとなつた外国貨物の譲渡を除く。)
三 国内及び国内以外の地域にわたつて行われる旅客若しくは貨物の輸送又は通信
四 専ら前号に規定する輸送の用に供される船舶又は航空機の譲渡若しくは貸付け又は修理で政令で定めるもの
五 前各号に掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの

前条(法第三十条:筆者注)

(仕入れに係る消費税額の控除)
第三十条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、国内において行う課税仕入れ(特定課税仕入れに該当するものを除く。以下この条及び第三十二条から第三十六条までにおいて同じ。)若しくは特定課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の第四十五条第一項第二号に掲げる消費税額(以下この章において「課税標準額に対する消費税額」という。)から、当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れに係る消費税額(当該課税仕入れに係る適格請求書(第五十七条の四第一項に規定する適格請求書をいう。第九項において同じ。)又は適格簡易請求書(第五十七条の四第二項に規定する適格簡易請求書をいう。第九項において同じ。)の記載事項を基礎として計算した金額その他の政令で定めるところにより計算した金額をいう。以下この章において同じ。)、当該課税期間中に国内において行つた特定課税仕入れに係る消費税額(当該特定課税仕入れに係る支払対価の額に百分の七・八を乗じて算出した金額をいう。以下この章において同じ。)及び当該課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物(他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この章において同じ。)につき課された又は課されるべき消費税額(附帯税の額に相当する額を除く。次項において同じ。)の合計額を控除する。(以下筆者略)

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